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葉野りるは

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リクエストSSボツ話 「真白×涼」

先日の日記に書いていた「リクエストSS」のボツ話です。
読みたいとおっしゃってくださる方がいたので、こっそりと公開♡

こちらのお話はパラレル設定でして、ふたりは高校生。
涼さんが高校三年生で真白さんが一年生という設定です。


【Side 涼 01話】

 新学期が始まったある日、図書室で本を読みながらカウンター当番をしていると、髪の長い女子が飛び込んできた。
 髪と呼吸が乱れているところを見ると、廊下を走ってきたのかもしれない。
 今は激しく上下する胸を押さえ、図書室内をきょろきょろと見回している。
 見るからに切羽詰まった様子の女子は、一歩を踏み出して盛大に躓いた。
 何やってるんだか……。
 受付カウンターから出て手を差し出すと、こちらを見た目に囚われる。
 潤んだ瞳は今まで見た誰よりも茶色く、髪と同じ、きれいな琥珀色をしていた。
「……何か困っているなら力になるけど?」
 進んで人と関わらない自分がどうしてそんな言葉を発してしまったのか。
 おそらく人間という生き物は、困った人を見ると放っておけないようにできているのだと思う。中でも、医者になろうと思っている自分は、その傾向がひときわ強くて当然なのではないだろうか。
「あの、どこか隠れられる場所はありませんか?」
「それならカウンターの中へ」
 女子をカウンターの中へ促すと、けたたましい音を立てて図書室のドアが開けられた。
「今、真白様がいらっしゃいませんでしたかっ!?」
 息を切らした数人の女子は入ってくるなりカウンターに身を乗り出す。
 幸い、こちら側には作業台がせり出しているため、その下に隠れた女子の姿は見えていない。
 今足元で小さくなっている女子は、これらから逃げてきたのだろう。
 状況を悟り、俺はため息をついて口を開いた。
「ここが図書室であるという認識は?」
「えっ……?」
「図書室では静かに」
「そんなことわかってますっ」
 いや、わかっていないと思う。
「図書室で大声を出したらいけないっていうルール、小学生でも知ってると思うんだけど」
 静かに笑みを向けると、騒々しい女子どもはカウンターから身を引いた。
「それから、廊下も走っちゃいけないはずだけど……? 風紀委員や先生方に見つかったらペナルティーを受けるよ。ちなみに、ここで大声を出してもペナルティーは発令できるんだけど」
 引き出しからペナルティーカードを取り出し見せると、女子たちは我先にと図書室を出て行った。
 カウンター内へ視線を落とせば、手で口元を覆った女子と目が合う。
 まるで息をすることさえ我慢していたふう。
「もう行ったけど?」
「かくまってくださりありがとうございました。それから、ごめんなさい……私も騒々しく入ってきてしまって……」
「あぁ、廊下も走ってきたみたいだったね」
「……風紀委員に連絡しますか?」
「まさか……面倒を買って出るほど物好きじゃない」
 でも、何をしてこんなところへ逃げ込んできたのかは多少気になる。
 それは、代わり映えしない日常に飛び込んできた一匹の蝶に、意識を奪われるような感覚。
 相手のことを知りたいと思うなら、まずは自分が名乗るべきか……。
「三年A組、芹沢涼。君は? 何マシロ? それとも、マシロが苗字?」
「いえ、一年D組、藤宮真白と申します」
 フジミヤマシロ――
 その名前には覚えがある。
 確か、今年の新入生に藤宮グループ会長の娘がいるとかなんとか。そんな話は噂に疎い自分の耳にも入っていた。
「あぁ、だからマシロ様」
「その呼び方はやめてください……」
「でも、みんなにはそう呼ばれているんだろ?」
「呼ばれたくて呼ばれているわけではありません」
「ふーん。……追われていた理由は?」
「主には部活の勧誘です」
「それ、逃げ回るほど困ること?」
「困るというか……」
 藤宮真白はもごもごと言葉を濁し、思いつめた表情で口を閉ざしてしまった。
 潤んだ目から涙が零れ落ちたら自分にはフォローのしようがない。そんな思いから、
「落ち着くまでいればいい」
 俺は静かに視線を逸らした。


 それからというもの、藤宮真白は放課後になると図書室へやってくるようになった。
 それも、人目を避けるように、受け付けカウンターの作業台下でひっそりと体育座りしているのだ。
「……一応、カウンター内は関係者以外立ち入り禁止なんだけど」
 会話のきっかけにそんな言葉を投げると、怯えた目がこちらを向いた。
「月末まで、大目に見てはいただけませんか?」
 まるで生まれたての小鹿のように潤んだ目で見られるから、反する言葉を返せなくなる。
 あの目、厄介すぎるんだけど……。
 でも四月いっぱい、か。
「つまり、部活の仮入部期間が終わるまで?」
 藤宮真白はコクリと頷いた。
「君、中等部からの持ち上がり組だから知ってると思うけど、部活は強制参加だけど?」
「わかっています……」
 先日のように言葉を濁し俯いてしまう。
「言葉は最後まで話さないと相手に伝わらない」
 藤宮真白ははっとしたように顔を上げ、目を見開き唾を呑み込んだ。そして、
「芹沢先輩は歯に衣着せぬ物言いなんですね」
 添えられた笑みが可憐すぎて釘付けになる。
「……それ、褒め言葉じゃないと思うけど?」
 無理やり言葉を繰り出すと、
「……そうですね。ちょっと失礼な言葉だったかも?」
 言いながらクスクスとおかしそうに笑った。
「でも、私の中では最上級の褒め言葉なんです。ほかの方は、本心を話してくださっているのかわからないので……」
 その言葉から得られる情報は、周囲に心を許せる人間がいないのだろう、ということくらい。
「けど、慕っているからこそ群がってくるんじゃないの?」
「どうでしょう……。自分で言うのもなんですが、家の影響力は計り知れないので……。私個人に興味をお持ちくださる方がどれほどいるかは不明です」
 ふうん……。
 それは、孤児で奨学制度を利用して高校へ通っている俺にはわからない境地だな。
 もっとも、わかる人間のほうが稀という気はするけれど……。
 藤宮真白はプリントに視線を落としながら、
「中等部では茶道部と華道部に所属していたのですが、高等部では何か新しいことを始めたくて……。できれば、本当にその活動に興味をお持ちの方々と交流を深めたいのです」
 つまり、自分目当てで興味本位に入部を決める人間とは別に、ということか。
「でも、仮入部期間をずっとここで過ごしていたら、新しい部を見学することもできないんじゃない?」
「そうなんですよね……。ですので、今はどんな部活があるのかリストとにらめっこをしています」
 彼女の手にあるのは入学式の日に配られるプリント。しかし、それらには活動内容など細かなことまでは書かれていない。
「それなら――」
 俺はカウンター近くの本棚から一部の冊子を手に取り彼女に差し出す。
「各部が年度末に提出する活動内容をまとめた冊子。そのプリントよりは参考になると思う」
 藤宮真白はぱっと目を輝かせ、「ありがとうございます」と冊子に飛びついた。
 その様を見て、猫の餌付けに成功した気分になった。


【Side 真白 01話未満】

 放課後に図書室へ行くようになって二週間が過ぎたころ、ふとした疑問が浮上した。
 私が図書室に来て五分もすると、芹沢先輩は当たり前のようにやってくる。
 それが日常になっていたけれど、少し考えるとそれはとてもおかしいことだった。
 この学園の部活動は強制参加であるはずなのに、芹沢先輩はどうして毎日図書室でカウンター当番をしているのだろう。
 仮に図書委員でカウンター当番だったとしても、二週間も連続して、というのは考えにくい。
 図書室の窓を開けて回る芹沢先輩をじっと見ていると、戻ってきた先輩に「何か質問?」と小さな声で尋ねられた。
 この先輩は、図書室にふたりしかいないときであっても「図書室では静かに」をきちんと遂行するのだ。
「あの、先輩は部活へは行かれないのですか?」
 先輩に習って声のトーンを落として尋ねると、
「あぁ、そのこと……」
 先輩はため息をつくみたいに言葉を吐き出した。
「去年から、四月中は部室立ち入り禁止を食らってる」
 部室、立ち入り禁止……?
 奇妙な言葉の並びに首を傾げる。
 それは芹沢先輩が何か悪いことをしたから……?
 ううん――まだ知り合って間もないけれど、この先輩に限って部室への立ち入りを禁止されるような行いをするとは思えない。
 何せ、廊下を走ってはいけないだの、図書室では静かにだの、どんな小さなルールだって厳守する人なのだから。
 だとしたら、何か別に理由があるはずだけど、それはいったいどんな理由だろう。
 訊いたら教えてもらえるだろうか。
 端整な横顔をじっと見ていると、
「別に俺が何をしたってわけじゃないから」
 先輩は静かに口にした。
「では、どうしてですか……?」
 疑問のままに尋ねると、先輩は嘆息して、とても億劫そうに口を開いた。
「この顔、女子受けがいいみたいで、ちょっとした被害を被ってる」
 え、お顔? 女子受け……?
 改めて見るまでもなく、芹沢先輩のお顔は美形と呼ばれるそれに属する。
 切れ長で涼やかな目に、すっと通った鼻梁。薄い唇に細い顎。陶器のように滑らかな肌。どれをとっても美しいうえ、指先の所作ひとつとっても気品を感じる。さらには、すらりとした長身にスマートな身のこなし。
 女の子なら誰もが騒ぎそうな様相である。
 でも、それによってもたらされる弊害とはなんだろう。
 秀でた容姿は利点でありこそすれ、被害なんて――
「この顔目当てで入部してくる迷惑な女子がいる。それできちんと活動するなり部活を続けてくれればいいけれど、もともとが不純な動機での入部だからね。脈がないとわかった途端にやめていく人間も少なくない。おかげで数ヶ月は落ち着いて活動ができなくなる。だから、仮入部期間は部活に出てくれるなとほかの部員に懇願されて、ここでおとなしくカウンター当番をしているしだい。……藤宮さんとは少し事情が違うけど、似たような境遇ではあるかもね」
 言うと、芹沢先輩は英文が連なる本に視線を落とした。

以上

ボツです……orz
こんなん、真白さんが涼さんに惹かれる未来しか想像できませんって(苦笑)
「涼先生が真白さんを口説く」というリクエストは意外とハードルが高かった……orz

追い詰める司の心情その他(追記あり)

まずは、翠葉さんを追い詰めようと思った司の心情から。





 なんとなく気づいてはいた……。
 やっとわかった……。
 今まで何度となくやってきたことなのに、なんで気づかなかったのか――。
 翠を望むなら、翠を得ようとするなら、そのために必要なことはただひとつ。
 翠を全力で突き放さす必要がある。
「なんで――なんでこんな面倒くさい人間なんだか……。こんな……したくもない回り道をさせる……」
 それでも俺は突き放す。
 容赦なく。これ以上ないまでに。
 得るために、翠を突き放す。
 そうしないと得られないから――。





実際はと言うと、秋斗さんの行動に頭の容量持っていかれていて、翠葉さんを追い詰めるっていうのがメインではなくなってしまったがゆえに使えなくなったもの。
どこかに入れたかったんですけどね。
入れられなかったんです。
結局、やってることは変わらないんですけども……。


お次は、翠葉さん尾行話。
当初の予定では、司に突き放された翠葉さんはひとり病院を抜け出して空港まで行く、という設定だったのです。
でも、大きな手術をしたあとだし、どうやっても警護についてる人たちを振り切れるわけもないし、と非現実的であることが発覚し、路線を泣く泣く変えたしだい……(苦笑)
(だから、上の司の追い詰めると決めた部分が書けなくなった、というのもあるのです(〒_〒)ウウウ )

お話しは翠葉さんが病院を抜け出し、タクシーを使って駅まで行き、始発電車を乗りついでリムジンバスに乗る直前に黒塗りの車に連れ去られたところからです。





「っ!?」
 車はするりと走り出し小さくなっていく。携帯を取り出し、自分付きの護衛に連絡を入れようしたとき、見知らぬ車が自分の脇に停まった。
 す、と窓が下がり、見知った顔がにこりと笑む。
「お車、ご入用ですか?」
 支倉と名乗る男だった。
 すぐ助手席に乗り込みドアを閉める。
「では、ドライブと参りましょう」
 こんな状況で何を暢気に――。
 そこまで思ってはっとする。
「なんで支倉さんがここに?」
 支倉は相変わらずしまりのない顔で、
「いやですねぇ……。司様や秋斗様のすることをボスがご存知ないわけがないじゃないですか」
「……秋兄は知らない」
「関係ありませんよ。ボスの可愛いヒヨコさんたちは常に見られてますから」
 これ以上無駄な会話はしたくない。
「前の車、追跡はできるんだろうな」
 訊くと、
「その必要はありません」
「っ!?」
「そう焦らずに」
 あくまでものんびりとした口調で話す。
「さっきの車のナンバーは覚えておいでですよね?」
 覚えたてのナンバーを答えると、
「それは本家の雅嬢専用車のナンバーです」
 言われて驚く。
「彼女が向かうのは秋斗様がいらっしゃる空港です」
「知っていることがあるなら全部話せっ」
 イラつきを抑えずに言うと、ブルブルと震えて見せた。あくまで安定した運転をしながら……。
「雅嬢も見ていられなかったのでしょう。電車の乗り換えにおろおろし、バス乗り場で苦戦している彼女が」
 ……雅さんも今日の翠を尾行していた?
「今日のことはごく僅かな人間しか知らないはずだ……」
 僅かな人間のうちには秋兄は含まれていない。翠の警護班は動かしているものの、それすら秋兄には伏せてもらっている。
「ボスですよ。ボスが雅嬢に話しました」
「っ!?」
「……詳しくは申せませんが、雅嬢はどうやらあのお姫様に救われたそうです。ですから、今回のこともボスから聞いて何かしたくなったのかもしれません」
「言ってる意味がわからない。雅さんにとって翠は嫉妬の対象になりこそ、翠に救われたなんてあり得ない」
「それがあるのだから世の中不思議ですよね~」
「あるわけない。翠と雅さんが接触したのは過去に一度だけだ」
 越谷の件は、まるで関係ないとは言い切れないが、それでも翠とは接触などしていない。
「そのあたりは今度ご本人にうかがってみたらいかがですか? あ、追いつきましたね。ほら、あの車空港へ向かっているでしょう?」
 翠を連れ去った車は確かに空港へ向う方へと指示器を出し、滑らかな運転で分岐を左に行った。
「シャトルバスに乗るよりもベンツのほうが乗り心地も良いでしょうし。お姫様にとっても良かったのではないですか? バスでは風邪をもらうんじゃないか、知らない人間に声かけられたりと、司様も心配が絶えないでしょう?」
 どこか楽しげに笑いながら言われる。
「…………雅さんが敵意を持って翠に近づいてるわけじゃないなら、いい」

 空港に着くと翠は車から降り走り出した。
「さ、ここからは司様の出番ですよ。いってらっしゃいませ」
 最後の言葉を聞き終える前にドアを閉め走り出す。
 雅さんの乗る車の脇を通ったとき、雅さんと目が合った。
 ツン、とすぐに視線を逸らされたが印象が悪いわけではない。"キツイ"イメージはそのまま。しかし、悪意は感じなかった。
 何より、翠をここまで連れて来たことがそれを証明している。
 俺は意識を翠に戻し、白いコートを着た後姿を追った。





雅嬢をもう一度出したかったのですが、お話しのルートが変わったら出せないことに……。
でも、実は雅嬢、とても近いところにいます。
Season2に出てくるかもしれませんが、秋斗さんが立ち上げた会社の一社員です。
えぇ、実はとても優秀な方なので、そして即戦力になるほど語学にも長けており、心理学のほか、経営学もかじっているような人なので、海外拠点の責任者に抜擢されています。
それは国内では実家との折り合いが悪いのを考慮して、というもの。
海外には、彼女が初等部にいたころの保健医が在住していて、その人のもとで生活を再スタートさせる、という設定なのです。
(その保健医さんだけが雅嬢の心の傷を知っていた、という設定です)


あと、翠葉さんがひとりで動くと決まったときに司がとった行動のひとつ。
これを入れたいなぁ……、そしたらこれを(↑上の支倉さんとの会話)書き直さなくちゃいけないなぁ、と思っていた内容。
司×静さんのお話です。




「静さん、ゼロ課の人間はまだ翠についてますよね」
「あぁ……今度は何をするつもりだ?」
「とくには何も……。ただ、自由にするだけです」
「ほぉ……。それもかなりの力技で自由にするつもりか」
「……相手が翠なので」
「それの意味するところは?」
「……優しくするだけじゃなまぬるい。そんなんじゃあいつは動かない」
「……だから、追い詰める――か」
「…………」
「私としては親友夫婦の娘さんには優しくありたいんだがな」
「それはそちらの事情でしょう。こちらにはこちらの事情があります」
「察するよ。何せ、碧と零樹の娘だからね。差しあたって何をすればいいのかな?」
「ゼロ課だけで警護は不十分ですよね?」
「あぁ……そういうことか。警備を動かしたいんだな?」
「はい。秋兄に悟られず……」
「しかし、そこは私の管轄ではないし、秋斗に気づかれずに動かすのはかなり難しいと思うんだが……」
「だから静さんの権限が欲しい」
「……なんだ、すでに手配済みなのか?」
「唯さんの協力なしには無理でしょう? けれど、唯さんが犯罪を犯さず自由に動くには秋兄より力のある人間からの命令なり指示が必要になります」
「わかった。許可しよう」
「ありがとうございます」
「ただし――」
「心配なさらず……。翠の体はまだ万全じゃない。でも、こっちも強硬手段に出るからにはバックアップ体制は整えています。姉さんから聞いてませんか?」
「……聞いてないな」
「姉さんをはじめ、病院側を巻き込んでいます」
「なるほど。そこらへんは手抜かりなくということか」
「……自分だって、翠を危険に晒したいわけでも危険を冒したいわけでも苦しい思いをさせたいわけでもない」
「わかった。やりたいようにやれ」
「ありがとうございます」





本当はゼロ課を出したかったんです(苦笑)
でも、お話しのルート変わっちゃったから出せなかった(苦笑)
こうやって要所要所に置いておいたポイントを軒並みスルーされた件。
いつだって作者形無しです……orz
どんなに誘導をがんばってみてもそっぽ向かれてばかり。
悲しい……(〒_〒)ウウウ

それでですね、走りに走ってすっごく体調が悪い状態の翠葉さんが空港で秋斗さんを見つけ、秋斗さんに答えを言うわけです。
秋斗さんのことを好きだったけど、今は司が好きです、って。
その直後に倒れるわけですが、背後から現れた司が、




「やっと選んだ――バカだな。最初からこうすれば良かったものを……。翠がどっちを選んでも漏れなくもうひとりくっついてくるんだ。どっちかを失うことなんてあり得ない。俺たちのつながりを誰よりも知ってるくせに……。早く気づけよ……」




と、ボソリと呟くシーンなどがあったのですが(〒_〒)ウウウ
えぇ、ことごとくボツですよ、ボーツー(苦笑)

そのあと、ヘリで病院まで運ばれるのは同じなのですが、ICUで目が覚めたときのお話もボツ話としてご用意してあります(ただ単に本採用されなかったから“ボツ”という名のお話になってしまっただけ……)





 目が覚めると秋斗さんがいた。そして、ツカサがいた。
「おはよう」
 ふたり口々に言う。
 私が何か話さなくちゃと思って口を開けると、ツカサに水差しを突っ込まれた。
「翠の話しは後。とりあえず診察が先だから」
 ナースコールはすでに秋斗さんが押していた。
 湊先生の診察が済むと、再びふたりがベッド脇にやってくる。
 再度、私が口を開こうとしても、やっぱりツカサに遮られた。
「この人、とっととアメリカに行かせなくちゃいけないから、優先順位的にこっちが先」
 秋斗さんは苦笑する。
「ごめんね。親御さんより先に俺たちいれてもらっちゃてるから」
 そう言われてみれば……と思いながら、秋斗さんに視線を戻す。
「俺、会社を立ち上げたんだ」
「え……?」
「翠葉ちゃんに作ったようなモバイル医療機器専門のね。湊ちゃんたち現場の声を聞きながらあったら便利なものを作る会社」
 いきなりすぎてなんの話をされてるのかに戸惑った。
「話を戻すね。翠葉ちゃん、今は司を好きでいいよ。両想いならふたり付き合えばいいと思う。でも、俺は翠葉ちゃんが誰を好きでもかまわずに君が好きだから」
「っ…………」
「うざったい? 重い?」
 訊きながら笑う。
「でも、そのくらいは勘弁してほしいな。それに――またいつ心変わりするかわからないでしょ?」
 ドキっとした。
「翠葉ちゃんは俺を好きだったのに、記憶が戻った時に司が好きで……そのことにひどく心を痛めたんでしょう? でも、俺はそんなの気にしないから……。願わくば、また心変わりして俺を好きになってもらえないかと期待する」
「図々しい……」
 ツカサが零す。けれど、
「お前だって俺の立場だったら同じこと思うだろ?」
「……だろうね。実際、秋兄じゃなくて俺を好きになればいいと思ってずっと待ってたわけだし」
 しれっと答えて、缶コーヒーに口をつけた。
「そういう相手だから気にする必要ないよ。それに、翠葉ちゃんはまだ進路悩んでるんでしょ? うちの会社に就職しない? 俺にはそういう道も提示してあげられるんだけど? あ、別にツカサと付き合っててもかまわないよ?」 
 急すぎる話にびっくりしすぎて頭がついていかない。
「ま、つまり……君が誰を選ぼうと、俺は君を諦めるつもりはないし、いつだってこうやって会いに来る。でも、今はちょっとアメリカに行かなきゃだから、先に話をさせてもらったんだ。この会話の続きは電話でもいいし、帰国してからでもいいよ」
「でもっ……秋斗さんしばらく帰ってこないんじゃ――」
「……あぁ、そうだった。そこの嘘つき小僧がそんなこと言ってたんだっけ?」
 くすくすと笑いながらツカサを見る。
「それは嘘だよ。君を動かすためのね。仕事の都合で一ヶ月くらい不在だけど、四月前には帰ってくる予定だから」




と、こうなるはずだったんですが……。
空港で倒れるところは同じですが、唯ちゃんと司が「社会人放棄すんな」と申すもので、秋斗さんは泣く泣く渡米することになりましたとさ……。

そんなわけで怒涛のボツ話でした(何



【追記】

古いファイルを漁ってたらずっと探していたボツ話が出てきました(をぃ
唯ちゃん×司のお話しです。
時系列で言うなら、翠葉さんが司に突き放されて、病室で必死に空港までのルートを検索しているあたりの裏話。






「唯さんなら翠がどのルートを探索したのか追えますよね?」
「……そういうとこ、ホント秋斗さんとそっくりだよね? 司っち」
「なんとでも……秋兄が俺の人格形成に関わってることには変わりありませんから」
 ほんっとにかわいくないというか、秋斗さんの高校時代はこの素地にオールマイティーな笑みとを八方美人を持たせただけの差かもしれない。
「追えるよ、追える。そんなの朝飯前」
 タンっとエンターキーを押してその画面を彼に見せる。
 何通りか出てきたけど、たぶんこれ……。
「どれだと思う?」
 訊けば彼も同じ答えを提示した。
「翠は電車やバス、公共の乗り物に慣れてない。だから、極力乗り換えの少ないこのルートでしょうね」
 それは病院からバス、もしくはタクシーで藤倉の駅まで出て、電車に乗り空港直通のバスがある駅で降りる、というルートだった。
「空港直通のバスなら屋内だし移動は全てバスがしてくれる」
 バス電車バス……。それか、タクシー電車バス。
 早朝に抜け出すことを考えるとタクシーを呼ぶのは難しいだろう。病院側が警戒することくらいリィだって考えるはずだ。だとすると――。
「バスですね」
「バスだね」
 顔を見合わせて少し意外そうな顔をした。
「リィが考えてることなんてお見通しってわけか」
 俺がそういうと、
「なんでもっていうわけじゃないです」
 と、無表情で答える。
 司っちがリィの病院脱走計画を持ちかけてきて以来、彼はほとんんど表情を変えない。無表情を守り通している。
「もう一度聞いていい?」
「何をですか」
「どうして行かせるの? このままいたら司っち有利じゃん。なんでわざわざ?」
「自分のためですよ。……先日は翠のためとか言いましたけど」
「どうして君のためになるの?」
「後味が悪くなるのが嫌なだけです。それから……譲られるのも癪でしかない」
 後味と譲られる……か。
「譲るんじゃなくてただ逃げただけだったらどうする?」
「そんなの、捕獲するに決まってるじゃないですか」
 あまりにも当然と言ったように口にするからおかしかった。
「全然違うのに、すごい根っこが似てるね?」
 彼は表情も変えず、
「以前なら反論したでしょうけど……。もう、それについて反論するつもりはありません。俺が秋兄に影響を受けてここまできたのは事実ですから」
 と、答えた。
 まるで、自分と秋斗さんが同じ人を好きになるのも必然だったとでも言うように。
「ねぇ、偶然と必然だったらどっちを信じる?」
「二分の一の確率なら、俺は必然を信じます」
「……ありがとう」
「なんでお礼を言われてるのかわかりかねるのですが……」
「偶然でなんかあってほしくないことってあるでしょ?」
「………………」
「俺さ、血のつながった妹を好きだった。妹も俺を好きだった。でも、妹は長く生きられる体じゃなかった。もし兄妹として一緒にいなかったら、知り合うより前に芹は死んでたかもしれない。短い人生だからこそ、兄妹として生まれて一緒に過ごす時間を誰よりも多く持つことができた」
 ずっと思ってたんだ。
 どうして兄妹なんだって――ずっとずっと思ってきたんだ。
 でも、もしそれが必然ならって考えると、今みたいな答えが出る。
「好きな人が妹だった理由はそういう必然性があったから――そう思うと自分が救われる。だから、ありがとう」
「……俺は何もしてない。それは唯さんが自分で考えて導き出した答えでしょう」
「それでも必然を指示してくれる人間は二分の一の確率だからね」
 そう言って笑うと、彼は無表情を崩し、
「それは、そうですね……」
 と、ほんの少し笑みを見せた。
 作られた笑顔じゃなくて、普通に笑った。





こんなお話しもあったんだよー。
実は空港から帰ってくるところに後半部分のおはなしを入れたかったのですが、この下書きがどこにあるのか見つけられなくて、同じものが書けないのが嫌でスルーした件……。
後日、司サイドにこそっと加筆しておこうかな……。
またファイルがどこかにいっちゃいそうなので、一応ここにボツ話としてあげておく(駄


最終章 席次表の真意 湊×静

プラネットパレスでの晩餐会。
そこでは藤宮の人間に挟まれる形で御園生家が座っていましたよね。
末席があるかないか、の話はゲストルームに戻ってから御園生家が家族団らんで話していたのですが、その席次を決める際に静さんと湊先生が話していた会話です。





「御園生家ってこういう宿命なのかしら?」
「くっ、今さらだろう?」
「今さらって言われたら今さらなんだけど……。でも、ものの見事に囲まれてるわよ?」
「プラネットだからな。最初から末席など存在しない。あるのは、招かれた客によるサークル……つまり、"縁"のみだ」
 私は思わず目の前に座る男をまじまじと見つめる。
「なんだ?」
「いや……ずいぶんときれいにまとめるから頷きそうになったのよ」
「間違ってはいないさ。これを作った人間の受け売りだからな」
「は?」
「ここを作った人間がうるさいくらいに丸は円で縁なんだって言ってた。作った本人が席次の意味、必然に気付かなかったら笑ってやろうと思ってる」
「やだ……静にも普通の友達がいたのね? ずいぶん奇特だけど――」
「くっ……その奇特なのも御園生が引き受けてくれている」
 言われて今度はすんなり納得してしまった。





きっとベッドに寝転がりながら湊先生が席次表を眺めていて、それを楽しそうに静さんがくつくつと笑っていたんだろうなぁ……というお話し。
前後にお話しの肉付けができなかったので、一部の会話のみ。
そりゃボツ話になるわけです(^^;;



最終章27話のボツ話

【光のもとで】最終章27話の裏話になるのかなぁ?
本当は翠葉さんが寝オチするのではなくて、唯ちゃんが寝てしまって兄妹のお話を終りにする予定だったんですよね。
……というのは、翠葉さんのお話(相談)がなかなか終わらなくて、翠葉さんを寝かせるため、話を終りにさせるために唯ちゃんが寝た振りをする……というお話になるはずだったのですが、翠葉さん薬飲んで勝手に寝てくれちゃったので、この裏話が使えなくなったという事実。



「あれ? 唯兄寝ちゃった……?」
「…………」
「寝たみたいだな。翠葉ももう寝な」
「ん。蒼兄、おやすみなさい」
「おやすみ」
 そんなやりとりを聞いたのは三十分ほど前のこと。
 今しがた、新たなやりとりが聞こえてきた。
 相変わらずひそひそと声のトーンは落としているものの、静かな室内で聞き取れない声はない。
「リィ、寝た?」
「寝た……っていうか、唯寝たんじゃなかったのか?」
「いや……あのまま話してたら夜明かしちゃうっしょ? あの場合、誰かが脱落すべきだと思ったんだけど? もし、俺がそれやらなかったらあんちゃんやった?」
「いや……無理」
「ほら、やっぱ俺の役割じゃん」
 息子ふたりは、口裏を合わせずに妹を寝かしつけるために己がとった行動を省みる。
「ところでさ、碧さんってさ零樹さんのどこを好きになったんだろうねぇ……」
「んー……知りたいようで知りたくない」
「あら、教えてもいいわよ?」
「「えっ!?」」
 ロフトから驚いた顔がふたつ。
 私は階下から息子の会話に参戦したのだ。顔を付き合わせての会話じゃないからこそ話せることもある。
 これはそういう内容な気がした。
 面と向って訊くのは少々恥ずかしく、答える側もうら若き頃を思いだしたりしてちょっと気恥ずかしい。
 けれど、別に話したくない内容でも隠す内容でもない。
 ただ、お互いに少し気恥ずかしいだけなのだ。
「マイペースなところ。ひたすらマイペースなところよ」
「でも、それを言うならオーナーだって……」
「零が静の上を行くのはそこのみ。勉強も運動も器用さも静のほうが上。ただ、私に振り回されないっていう点ではこの世で一番なの。そう考えたら、私より強いのは世界でひとりね」
 誰だかわかる? というような視線を向けると、ふたりは自分たちの間に横たわる妹を見た。
「そう。娘の翠葉」
「いや……でも――スンマセン。リィはやっぱり碧さんの娘ってことで……」



なんてことのない閑話のようなものがあったのですが、これを一話の長さにはできないなぁ……と思って、ボツ話決定。
碧さん×蒼樹×唯ちゃんのお話って、翠葉さんが入院したときに三人で翠葉さんの身の回りのものを幸倉の家に取りに行ったときしか書いたことなくて、なんとなく書いてみたいなぁ……と思ったのがきっかけ。
(結局使えなかったけど(笑))

碧さんが息子や娘の“お母さん”って感じよりも、“対等”に話す感じが好きです。
そう考えると、零樹さんは扱いはちゃんと“人”なんだけど、「娘と息子ー! 俺、父親!」みたいな感じも好きです^^ ←つまりうちの子たちはみんな好き。
【光のもとで】は、キャラひとりひとりが持っている、人とのスタンスが好きなお話です。
よろしかったら、【光のもとで】のどんなところが好きかお聞かせくださいm(_ _"m)ペコリ



光のもとで 最終章 32話 ボツ話

二日連続でボツ案のお話UPです(笑)
今日UPするのは、32話の一部。
湊先生たちの挙式後の披露宴での1シーンです。

一通り料理を食べた後は人が立ち歩きだして、親は親、子供は子供で集まって談笑してる……という状況にしようと思っていたのですが、あまりにも翠葉さんが無理すぎてやめました(苦笑)
その、無理っぽさをお楽しみいただけたら何よりです^^



*****


「いやー、それにしても世間って狭いな? じっちゃんと翠葉が知り合いだなんてさ」
 海斗くんの言葉に固まった。
 バカだなと思う。何もここまでわかりやすく動揺することなかったのに。
「翠葉?」
 海斗くんが私の名前を呼ぶと同時にツカサが声を発した。
「海斗。飲み物なくなった」
 テーブルにコツリとグラスを置くと、
「こっちも」
 と、秋斗さんがグラスを振って見せる。
「あ、じゃぁウェイター呼ぶわ」
「「海斗が行けよ」」
「なんで俺っ!?」
 反発する海斗くんに唯兄が絡みつく。
「海斗っち~……お水ぅ……俺はぁ、お水が飲みたいでえええす」
「げっ……唯くん、どれだけ飲んだの!?」
「わっかんなあああい! とにかくお水~……」
「わーった! わーったからちょっと待ってて」
 言いながら席を立った。
「ごめん、なさい……」
 気を遣わせてしまったことを謝ると、唯兄に抱きつかれる。
「ハズレ……」
 言うと、唯兄は力が抜けたように崩れ落ちた。
「わっ、唯兄っ!?」
「ハズレったらハズレなんらかーねぇ……そんならから、つかしゃっりろかあきろさんにつけこまれるんら……」
 しばらく待ってみたけど、その後に言葉が続く気配はなく、聞こえてくるのは穏やかな寝息。
 きれいにスタイリングされた頭をじっと見ていると、
「寝た、のか?」
 蒼兄に訊かれ、
「たぶん?」
 答えると、秋斗さんがクスクスと笑いだした。
「唯、酒は強いほうじゃないんだ。ここまで飲むのも珍しい」
 言いながら、私の上で寝てしまった唯兄を抱え上げた。
「でも、酔ってても頭の回転は悪くないんじゃない?」
 会話に入ってきたのは湊先生。
「あっ……湊先生、ご結婚おめでとうございますっ」
「あー、ハイハイ」
 手でポイポイと払う仕草を伴って、そんなことはどうでもいい、と一蹴されてしまう。
「それより、ソレ。似合ってるわね」
 指差されたのは自分の後頭部。すぐに髪飾りのことを言われてるのだと気づく。
「あの、今日が湊先生のお誕生日って私知らなくて……。プレゼント用意してないのに、逆に頂いてしまって……すみません」
 言うと、大きくため息をつかれた。
「あんたのそれは変わんないわね? まずは、ありがとう、でしょ?」
 湊先生の言葉にツカサが口を挟む。
「とりあえず、姉さんは誕生日も祝われとけばいいと思う」
 湊先生はきょとんとした顔でツカサを見る。
「……それもそうね?」
 その場に集まる人の視線が一斉に自分を向き、一層いたたまれなくなった中でお誕生日おめでとうございますを伝え、髪飾りのお礼を言った。
 唯兄はスタッフに抱えられて強制送還。付き添いたいと申し出たけど、その願いは即座に却下された。
「んなの、寝かせとけばいいのよ」
 湊先生の言葉に皆が頷き、御崎さんが私を気遣って言ってくれた言葉は、
「ご心配でしたら医務室へ運ばせていただきます。お嬢様はパーティーを楽しまれてください」
 御崎さんは藤宮の人じゃないのに、この笑顔に逆らえる気がしない……。
 結局、食い下がることができなかった私は今も披露宴会場にいる。
 同じテーブルに秋斗さんもツカサも海斗くんもいて、唯一味方と思えるのは蒼兄だけで。この5人でいったいどんな会話をするんだろう?


*****




どんな会話をさせたらいいのか、翠葉さんが困る以前に私が困り果てたので、このルートは却下されました(^^;;
結果、唯ちゃんが歌を歌わされたという何か……。←酔いつぶれるのはそのまま(笑)

いつも、「わからないなぁ……」って思うことは書いてみてます。
書いてみて、「あぁ……ここで詰まるからこのルートは無理」とか、「ここさえクリアできれば先につなげられるのに」とか「伏線になるのに」とか。
常にそんなことばかり考えて書いてます。
切り口を変えて書いても先が書けないときは、たいてい「使用不能ルート」です。
一話書くのに、全く書き直さないこともあるし、10回以上書き直すことも……。
2000文字くらいならそこまで抵抗ないのですが、3000文字超えるものを書き直すときは勇気がいります(苦笑)
で、無駄にあがいて、「やっぱりダメか……」というところにたどり着いて書き直します(笑)
さて、次の37話はすんなり書けるのでしょうか(^^;;

頑張ろ頑張ろっ!


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